不安げな私を無視して彼は吸引器のスイッチを入れる。
この音がより私の恐怖心を煽る。
いつまでたってもなれない。むしろ恐怖心が増している。
正直、この後の圧縮袋のインパクトが強くてあまり覚えてない。
でも、2,3回で終わったんじゃないだろうか。
私はすぐ圧縮袋から出たがる。
一度入ると二度目はもっと怖くなるから。
多分前回使って壊れた圧縮袋を使ったようなんだけど、数十秒我慢すれば圧縮感が和らぐ。
そうするとすかさず彼はまた吸引し始める。
最初よりも容赦なく圧縮する。
そうなるともう、私はもたない。
息も心も。
もう耐えられないって気持ちしかなくなって喚いて喚いて出して貰うために喚く。
「うるさい。」
彼は解放した後冷たくそういう。
だって、仕方ないじゃない。
うるさくさせてるのは貴方でしょう?
なんて理不尽なんだ。
仕方なさそうに圧縮袋から私を出すと、手枷と足枷をつけられた。
足枷はすぐみつけられなかったのか、なぜか首枷を両足首合わせて嵌められる。
うつ伏せにされ、手首の枷と足首を繋がれる。
今度は何をされるんだろうと思っていたら、また彼は首輪と足枷を繋ぎ海老反りにさせた。
また・・・。この体勢にされるだけで私は感じてしまってた。
喘ぎながらも首が締まっていくのを何とか逃れようと手で足枷を掴もうとするのだけど、
ぎりぎり届かない。
悶えている私に、彼は全頭マスクを被せ始めた。
いやいやって抗おうにもほとんど動けなくていとも簡単に被せられてしまった。
鼻の位置もずれたまま後頭部の紐を締められた。
「鼻の位置会ってないね。」
と笑いながら意地悪そうにいう。
わかっているのに直してなどくれない。
そこまできつくは締められてなかったので、首の下から少し入ってくる空気で多少息は出来たけど、
苦しいことに違いはなく。
首も絞まっているので余計に苦しく、そして気持ちよかった。
ただでさえ苦しいのに、彼の手で鼻から下を何度も塞がれる。
鼻の穴だけじゃなく、口元にも力を込められるともう息ができない。
でも、抗いようもない。こんな体勢じゃ顔を捩ることすらままならない。
手で空気を遮断しては、繋いでいる縄を思いっきり上に引っ張り上げる。
強制的に体を反らされ、堪らずひと際大きな声を上げてしまう。
繋いでいる縄を引っ張られるだけで、私の首は絞まってしまうし、体はほとんど動かせなかった。
そのシチュエーションに私はぞくぞくしてた。まぎれもなく感じてた。
息もろくに出来なくて苦しい状態なのに。
突然ハサミをテーブルに置く音がした。
予測出来てしまった。あぁ、きっと鼻の穴を塞がれる…
案の定、彼が鼻のあたりに触れた後空気があまり入ってこなくなった。
鼻の穴にテープを貼られてる・・・。
海老反りで顔を反らせている分首の下から少しは空気が入ってくるとは言えかなり苦しかった。
いやいや、って外してって心の中で何度も訴えるけど、言葉には出来なかった。
テープを外してくれてほっとするのも束の間。
彼が私の顔に触れる。そしてその後すぐにストレッチフィルムの音がする。
だめ・・・それはほんとに息が出来なくなってしまう・・・。
そう思って喚くけれど、喘いでるのか喚いてるかもよくわからない状態だった。
彼はそんな私を無視してハンディのストレッチフィルムを鼻から口元までぐるぐると巻いてしまった。
解放されても十分な息が出来ないって思うととても怖かった。
でも追いつめられれば追いつめられるほど、私は余裕をなくして堕ちていく。
いつもの自分を手放すことが出来る。
私の限界を間違えない彼だから、私は身を委ねられる。