一回目は確かに思ったよりはすぐに解放してくれた。
でも、二回目からは限界ギリギリまで出してくれなかった。
私は暴れて喚くしかなかった。
膝を曲げてない分足の動きは大きくなる。動けば袋を開けにくくなるのもわかってるのに、どうしても暴れてしまう。
そして、必死で声を上げてしまう。
「うるさい。」
解放されたタイミングで口を塞がれながら冷たい声が飛ぶ。
その冷たさにぞくっとしてしまう。
悲鳴が聞きたいっていうのは貴方のくせに、うるさいだなんて理不尽だ。
喚き倒すくらい必死になるくらい限界まで出してくれないのは貴方なのに理不尽だ。
そんな風に思うのに、その理不尽を受け入れるしかないんだ。
3回目の準備をしながらまた理不尽なことを言う。
「暴れないように。わかった?」
暴れずにいられる自信なんてあるはずがなく、微かに首を縦に振った。
空気が抜かれていく。
息を吸って止めるタイミングがいつも難しい。早すぎても遅すぎてももたない。
空気を抜き終わると、彼の手が私の顔に触れる。乳首に触れる。
でも、圧縮袋の中にいる時はその手にすら感じる余裕があまりない。
息を止めておくことが辛くなって息を吐く。あとはその吐かれた息をまた吸って呼吸をするだけ。
もちろんすぐに苦しくなる。
足をバタバタと動かして暴れたくなる。
暴れないようにと両足をすり合わせるようにもぞもぞする。
彼はまっすぐぴっちり圧縮された状態をみたいんじゃないかなって思ったから、だから暴れないように・・・。
頑張って我慢したつもりだけど、やっぱり苦しくなると最終的には暴れて喚くしかなかった。
この時だったかな。
「やればできるじゃん。さっきのよかったよ。」
と言われたことがあった。
彼はあんまり褒めてくれないのでそんな言葉一つでも嬉しくなったのを覚えている。
毎回解放してくれたら、これで終わりじゃないかって淡い期待を抱いてしまう。
私は毎回毎回袋から出ようとしてしまう。
そしていつも、
「まだに決まってるでしょ。」
と叱られるんだ。
何度繰り返されたか覚えてない。
一度、息を止めるタイミングを失敗してしまって、すぐに暴れてしまった。
こんなにすぐじゃ暴れても出してくれないかもしれない、って思いながらとにかく暴れた記憶がある。
「いやいやっ、いやいやっ」
ってひたすら喚いてた。
そんな私を解放すると、また冷たい声が飛ぶ。
「何、今の?30秒しか経ってないんだけど。どういうこと?」
・・・怒ってる・・・怖い・・・。
そして軽くビンタされる。
ビンタというかペチペチした程度だったかもしれないけど、こんな状況でもぞくぞくしてしまう自分がいた。
もうちょっと思いっきりしてくれてもいいんだけどな・・・なんて思ってしまう自分が嫌になる。
彼は基本的に痛みを伴うことはしない。されたことがない。
私も痛いことは得意じゃないけど、時々欲する自分がいるのも確か。
でも、この時はビンタよりとにかく声色が怖くて、
いつもはプレイ中喋らないというか喋れなくなってしまう私ですが、怖すぎて理由言わなきゃと思い・・・。
「息止めるタイミングが・・・」
「自分がミスったんやろ?ミスった自分が悪いんやろ?」
冷たいままの声に私は泣いていた。
彼はまた袋の口を閉め始める。
「泣いてる暇があるなら息整えといた方がいいんじゃないの?知らないよ?」
そう言われ、私は素直に従うしかなかった。
彼は基本的に命令形で喋ることはない。
でも、その声色で私は従わざるをえなくなる。
命令されるのも好きだけど、命令じゃないのに従うしかないのも好きかもしれない。
すすり泣きを我慢しながら息を整えた。
そしてまた真空の世界へ堕とされた。