彼は私を圧縮袋から解放すると、圧縮袋をソファの方へ片付けた。
「じゃあちょっと、撮影しないで遊びますかね。」
と呟く。
何されるんだろう・・・。
体は後ろ手で手枷だけ嵌められた状態だった。
すると、タオルを顔の上に置かれた。
新鮮な空気を吸わせてくれないパターンか・・・。
くらいにに思っていたらタオルで顔を包まれる。
え・・・?
「なんで、ストッキング持ってこないかな~。ないなら普通買ってくるでしょ。」
とイラついた声色・・・。
「ほら、こんなことしてもストッキングなら苦しくなかったのにね。自分が悪いんだよ。」
そういって、ハンディのストレッチフィルムでタオルの上から顔を巻き始めてしまった・・・。
彼からは事前に古いストッキングためといて持ってきてねと言われてた。
太ってからはほとんどスカートもはかなくなっていて、それ故ストッキングもはくことがなくなっていた。
ので、ないよと事前に言っておいたものの。
ま、新しいの買っていけばいいかと思いながら遅刻ぎりぎりで買えず。
ま、ストッキング位いっか。
と、思っていたんです。
ホテルに入り荷物をあけて、結構すぐに
「あれ、ストッキングもってきた?」
と聞かれました。
「持ってないって前に言ったやん。」
と普通に返したものの、ちょっと嫌な予感がしていた私。
まさかこんなことになるなんて・・・。
もう既に体力を削られている私は、正直タオル越しでも息をするのがしんどかった。
タオルを通じて少しだけ空気が入ってくる。
でも分厚いタオルだから苦しい・・・。
いやいや、って首を振っても喚いても外してくれるはずもなく。
全く息ができないわけじゃないのに、物凄く辛かった。
だからなのかどんなタイミングで解放されたか覚えてない・・・。
そしてその後手枷も足枷も外してくれて、自由な体になったと思ったら。
彼はストレッチフィルムを手にしたまま私に馬乗りになった。
すぐに何をされるか想像がついてしまう自分が怖い。
彼の考えることがわかってしまう。
案の定彼は手にしたストレッチフィルムを思いっきり伸ばして私の顔に貼り付けた。
手は自由な状態だったから、抗おうと手を顔に持って行こうとする。
そしたらすぐに手も彼の足の間に挟み込まれ、自由を奪われた。
無様な顔にさせられて、呼吸もさせて貰えない・・・。
「舌で穴あけたらいいじゃん。できるって。
自分で穴開けなきゃ解放してあげないよ。」
そんなのストレッチフィルム相手に出来るわけない。
ほんとにひどい・・・。
それにそんなことしたら余計に恥ずかしい顔になるのはわかりきってる。
そんなみっともない顔を見たかったのかもしれないけど、
まだ恥ずかしさが勝っていて舌で必死に穴をあけようとは出来なかった。
それでも顔を動かしまくっていたからきっと歪んで相当変な顔になっていたと思う。
解放されると。
「ヘタレすぎるでしょ・・・。 ん~どれくらいもつのかなぁ。」
そう言ってまた私の顔にストレッチフィルムを巻き始める。体は自由のまま。
4重位に巻かれたような気がする。
以前なら、一旦は呼吸穴をあけてくれて、それから遊ばれることが多かった。
だからそうしてくれるんだと思っていた。
ただ、それよりも体が自由なままの方が違和感があった。
何かで拘束していなくてもだいたいそういう時は彼の体で自由を奪われていたから。
「手自由にしてるけど、外したらダメだよ。」
また、そんな風に思っていた私の心を読んでいるかのタイミングで彼は冷たい声でそう言い放つ。
圧縮袋の時と同じで、自分の意思で彼に従うというのは新しくて。
これまではどちらかというと彼の好きにされてなすがままで、受け入れざるを得ない状況ばかりだった。
こんな風に「自由」を与えられたのは初めてだった。
昔の生意気な頃の私なら無視して、すぐ外そうとしていたと思う。(笑)
「なんでいう事聞けないの?」
って叱られて、お仕置されるのを選んだでしょう。
ねじ伏せられたかったから。
自由を与えてほしくなかった。
自ら選んで呼吸を手放しているなんて、自分にも誰にも言い訳できないなんて恥ずかしくてできなかった。
受け入れざるを得ないから受け入れる。それしかできなかった。
お仕置とか罰いう言葉にはいつになっても弱い。
だから、今でもそういう感情は間違いなくある。
なのに・・・関係性が変わるって恐ろしい。
この時私は・・・手を顔に持っていけなかった。
ううん、持っていかなかった。
自らで選択して呼吸を手放した。
彼が怖かったとか、そんな感情じゃない。
敢えてそんなことをするということは、彼がそういう私を見たいという事。
そう思ったら、抗えなかった。
でも、やっぱり苦しさには勝てなくて、手をストレッチフィルムへ持っていってしまう。
それでもすぐにはめくれなかった。
本当にヘタレで我慢できたのはとても短い時間だったと思う。
「まだ、まだだめ。
まだ、 まだ、 まだ。」
と言葉だけで私の手を抑圧する。
最終的には彼に抑えつけられたかな、あんまり覚えてない。
でも、限界がきて自分の手でストレッチフィルムをめくって息をしたことは覚えてる。
だから、怒られるかと思ったけど、何も言われなかった気がする。
自分で選ぶというのは本当に辛い。
でも、今までと違う何かを垣間見たような気がした。